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Golf G.O.A.T. vol.2

Lee Elderとその軌跡

-Lee Elderとその軌跡-

Masters Invitation

PGA ツアーのイベントに優勝すると自動的にマスターズに招待される、という習慣が根付いている昨今。ただし、その方針は必ずしも公式なものではなかった。 アフリカ系アメリカ人選手のピート・ブラウンとチャーリー・シフォードは、60 年代に PGAツアーで複数回優勝したが、マスターズの切符を手に入れることはなかった。1970年代初頭、下院議員のグループが当時のマスターズの会長クリフォード・ロバーツにアフリカ系アメリカ人を試合に招待するよう働きかけたが、彼はこの申し出を受け入れなかった。

ロバーツ氏は当時、「18人の議員がゴルフトーナメントの運営に協力してくれることに少し驚いていると同時に光栄に思っている」と語ったという。 「私たちは、誰かが高名な議員たちに誤った情報を与えたに違いないと感じています。なぜなら、微細であろうがなかろうが、選手に対する差別は存在せず、これまでにも存在しなかったからです。」と真っ向から差別を否定。その後1933 年に「すべてのゴルファーは白人であり、すべてのキャディは黒人である」との差別発言も残している。

しかし、1974年にはマスターズはツアー勝者なら誰でも招待できるように方針を変更した。 モンサントでの勝利後、ロバーツはエルダーを正式に招待するために連絡したが、エルダーはすぐには返答しなかった。

「クリフに自分の薬を試してもらいたかっただけだ」と彼は言ったと伝えられている。

1975年 マスターズ

ジャック・ニクラウスは、ジョニー・ミラーとトム・ワイスコフとのスリリングな最終ラウンドを制し、75年のマスターズで優勝を勝ち取った。 当時40歳だったエルダーは木曜日に74、金曜日に78を叩き、最終ラウンド出場を逃した。

エルダーは2015年、BBCニュースに対し「正門に到着し、マグノリア・レーンを車で下ったとき、震えが始まった」と語った。 「もしフックかスライスして木に突っ込んだらどうしよう?そんな事を考えながらただクラブを振っただけです。」

オーガスタでの一週間は、スリリングであり、試練でもあった。 エルダーはマスターズに至るまでに殺害の脅迫や嫌がらせの手紙が送られたこともあり、2つの家を借りどこに滞在しているのか分からない様にした。 常に2人のボディーガードが付き添い、食事はオーガスタにある歴史的な黒人の大学であるペイン大学のキッチンで調理された。
そんな試練を課せられたエルダーだが、オーガスタの観覧客は全く別の反応を示した。「グリーン上を歩くたびに、すごい拍手だった。 みんなが「ゴー・リー! 頑張れ、リー!」と叫んでくれた。」

エルダーとタイガーウッズ

最初のラウンドを終えた後、オーガスタのスタッフ全員がクラブハウスに続く道でエルダーに感謝の意を表して挨拶した。そして、やはり運命というのは数奇なものである。22年後、エルダーは18番グリーンでその年のチャンピオン、タイガー・ウッズを迎えていた。

Lee Elderの軌跡

エルダー

「当時は(マスターズでプレーすることが)どれほど重要か理解していなかった」とエルダーは数年後に語った。 「それがどれほど大変なことなのか、私は分かっていなかったように思います。」

USGA のシニア地域ゴルフエンゲージメントアドバイザーであるマイケル・クーパーは、こう語る。「彼が悪いことや人種差別について話していたことを一度も思い出したことがありません。 彼は出会ったすべての人々について良く話していました。」

アフリカ系アメリカ人のゴルファーズ・ダイジェスト発行者デバート・クックは、2005 年の PGA ショーでエルダーに会いました。 「リーはいつも親切で礼儀正しく、前向きな気質を持っていました。 彼のビジョンは常に希望で満ち溢れており、物事は必ず良くなる、という信念を持っていた。」

エルダーとジャック・ニクラウスとゲイリー・プレーヤー

2019年、エルダーはゴルフにおける傑出したスポーツマンシップを讃えるUSGAのボブ・ジョーンズ賞を受賞した。 2021年、目に見えて病弱となっていたエルダーは、マスターズのセレモニアルスターターとしてジャック・ニクラウスとゲイリー・プレーヤーと共に登場した。オーガスタクラブ会長のフレッド・リドリーは、クラブがリーの名前を用いてペイン大学に男女ゴルフ奨学金を設立し、女子ゴルフプログラムに寄付すると発表した。
そのわずか7か月後、エルダーは87歳でこの世を去った。「人々は根っから良い人だと信じている。自分がしてほしいように人々に接していれば、やがて彼らは戻ってくるだろう」とエルダー氏は2019年に語った。

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